2025.07.21
今回は最近よくご相談いただく「犬の胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)」についてご紹介します。
胆嚢とは、肝臓のそばにある小さな袋状の臓器で、消化を助ける「胆汁(たんじゅう)」をためておく場所です。この胆嚢の中の胆汁がゼリー状になってしまい、胆嚢全体が膨らんでしまう病気を「胆嚢粘液嚢腫」と呼びます。
写真のように胆汁が液状から泥状に固まり胆嚢から排泄されなくなってしまいます。
はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。
遺伝的な体質(特にシェットランド・シープドッグやミニチュア・シュナウザーなど)
高脂血症(血液中の脂肪が高い状態)
内分泌疾患(クッシング症候群など)
老化
初期は無症状のことも多いですが、進行すると以下のような症状がみられます。
食欲不振
嘔吐
下痢または便秘
元気がない
黄疸(歯茎や白目が黄色くなる)
胆嚢が破裂すると命に関わることもあります。
血液検査や腹部超音波検査(エコー検査)で発見されることが多いです。特に超音波では「キウイフルーツのような特徴的な画像」が見られます。
症状や状態によって治療法が異なります。
軽度の場合:内服薬や食事療法、定期的な検査で様子を見ます。
重度の場合:外科手術(胆嚢摘出手術)が必要になることがあります。
胆嚢粘液嚢腫は無症状でも進行することが多く、破裂してからでは命に関わることもあります。7歳以上のシニア犬や高脂血症がある子は特に、年に1〜2回の健康診断・腹部エコー検査がおすすめです。