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萩園どうぶつ日和STAFF BLOG

犬のアトピー性皮膚炎④ 除去食試験ってどうやるの?

これまで3回にわたり、犬のアトピー性皮膚炎の「症状」「診断」「治療」についてお話ししてきました。

 

今回は、診断の過程で行うことがある「除去食についてご紹介します。

「アトピーなのに、どうして食事を変えるの?」

と思われるかもしれません。

実は、犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは、症状だけでは見分けることが難しいのです。

さらに、両方を持っているワンちゃんもいます。

そこで、かゆみの原因に「食べ物」が関係しているかどうかを調べるために行うのが除去食試験です。

血液検査だけでは分からないの?

「アレルギーなら、血液検査で分かるのでは?」

と思われる方もいらっしゃると思います。

しかし、食物アレルギーは血液検査だけで確定することはできません。

食物アレルギーが関係しているかを調べるためには、実際に食事を変更して、かゆみがどう変化するかを見ることが重要です。


除去食試験を始める前に

まず、寄生虫や細菌、マラセチアなど、ほかにかゆみを起こす原因がないか確認し、必要があれば先に治療します。

そのうえで、

  • 現在食べているフード
  • 今まで食べたことのあるフード
  • おやつ
  • 人の食べ物
  • サプリメント
  • 味のついた薬

などを確認し、その子に適した除去食を選びます。

また、試験開始時のかゆみの強さを記録しておくことも大切です。

「なんとなく良くなった」ではなく、試験前と試験後のかゆみを比較することで、食事の効果をより正確に判断できます。


基本は「8週間」

除去食試験では、一般的に8週間程度、決められた食事だけを与えて経過を観察します。

使用する食事には、タンパク質を細かく分解した加水分解食や、これまで食べたことのないタンパク源を使用した食事などがあります。

ここで最も重要なのが、

「決められたもの以外は食べない」

ということです。

試験期間中に、

「おやつを一口だけ」
「パンを少しだけ」
「薬をチーズに包んで」
「家族がこっそりあげていた」

となってしまうと、正しい判定ができなくなる可能性があります。

おやつだけでなく、サプリメントや味のついた薬、歯みがき製品などにも注意が必要です。

多頭飼育の場合には、ほかのワンちゃん・猫ちゃんのフードを食べてしまわないようにすることも大切です。


かゆみを記録しましょう

除去食試験では、食事を変えるだけでなく、かゆみの変化を記録することがとても重要です。

例えば、かゆみを

「まったくかゆくない=0」
「非常に強いかゆみ=10」

として定期的に記録します。

さらに、

  • どこをかいているか
  • 足を舐める回数
  • 耳をかく回数
  • 夜にかゆくて起きていないか
  • 皮膚の赤み

なども記録しておくと、治療効果を判断しやすくなります。

スマートフォンで皮膚の写真を定期的に撮っておくのもおすすめです。


かゆみ止めはどうするの?

「除去食の効果を見るなら、かゆみ止めを最初から全部やめるの?」

という疑問もあると思います。

強いかゆみがあるワンちゃんでは、試験開始直後から薬を中止すると、非常につらい状態になってしまうことがあります。

そのため、必要に応じて試験の前半はかゆみを抑える治療を併用し、その後、獣医師の指示で減薬・休薬して評価することがあります。

薬を減らしたあともかゆみが少ない状態を維持できるかどうかが、食事の効果を判断する重要なポイントになります。

自己判断で薬を中止せず、必ず獣医師と相談しながら進めましょう。


8週間後、結果を判定します

除去食試験の結果は、大きく3つに分けて考えることができます。

① かゆみが戻ってしまった

除去食にしても、かゆみ止めを中止すると元のようにかゆくなってしまう場合です。

この場合、食物よりも犬アトピー性皮膚炎など、食物以外の原因が主体となっている可能性を考えます。

② かゆみが一部だけ戻った

以前より良くなったものの、完全にはかゆみがなくならないケースです。

この場合には、

食物アレルギーと犬アトピー性皮膚炎の両方が関係している

可能性があります。

食事管理を続けながら、アトピー性皮膚炎の治療も組み合わせていきます。

③ かゆみがほとんど戻らない

除去食によってかゆみが大きく改善し、かゆみ止めをやめても良い状態を維持できる場合には、食物アレルギーが関係している可能性が高くなります。

ただし、ここで終わりではありません。


最後に「元の食事に戻して確認」することが重要です

除去食で症状が改善しただけでは、食物アレルギーの確定診断にはなりません。

改善した場合には、獣医師と相談しながら**以前の食事を再び与えて、かゆみが再発するかを確認する「食物負荷試験」**を行います。

元の食事に戻したことで再びかゆみが出て、除去食に戻すと改善する。

ここまで確認することで、食物がかゆみに関係していることをより確実に判断できます。


除去食試験で一番大切なのは「8週間きちんと続けること」

除去食試験は、特別な機械を使う検査ではありません。

しかし実際には、

「決められた食事だけを、長期間きちんと続ける」

という、ご家族の協力が非常に重要な検査です。

たった一度のおやつでも判定に影響する可能性があるため、ご家族全員でルールを共有しておきましょう。

また、途中で皮膚の状態が悪化した場合には、我慢して8週間待つ必要はありません。感染症など別の問題が起きている可能性もありますので、動物病院にご相談ください。

食物アレルギー?それともアトピー?

犬の「かゆみ」の原因は一つとは限りません。

だからこそ、

原因を一つずつ整理していくことが、その子に合った治療を見つける近道です。

除去食試験は少し時間のかかる検査ですが、これから長く続くかもしれない皮膚治療の方向性を決める、大切な検査の一つです。

「フードをいろいろ変えているけれど、なかなかかゆみが治らない」

「アトピーと言われたけれど、食べ物も関係しているの?」

そんな疑問がある場合には、お気軽にご相談ください。

また、様々な試供品をご用意しておりますので指向性の確認にご利用ください。