2026.09.29

うさぎが食欲不振になった場合、当院では必要に応じてレントゲン検査や超音波検査を実施します。
レントゲン検査では、胃や腸の大きさ、ガスのたまり具合、消化管内の食べ物の状態などを確認します。

写真:うさぎの腹部レントゲン画像(側面像)
うさぎの消化管は非常にデリケートです。胃腸の動きが悪くなると、食べ物やガスが停滞し、お腹が膨らむことがあります。
また、消化管が物理的に塞がれている場合にも、胃や腸が拡張することがあります。
今回の画像についても、胃や腸の状態を評価するためには、身体検査やほかの検査結果と合わせた判断が必要です。
特に注意したいのは、単なる胃腸の動きの低下なのか、消化管が閉塞しているのかによって治療方法が大きく異なるという点です。
消化管閉塞が疑われる場合、安易な強制給餌や消化管運動促進薬の使用は危険を伴うことがあります。
そのため、適切な検査によって原因を調べることが重要です。
うさぎが突然ごはんを食べなくなったり、お腹が膨らんだりしていませんか?
うさぎの食欲不振は、犬や猫以上に注意が必要な症状の一つです。
特に、お腹が膨らむ「腹部膨満」を伴っている場合には、緊急の治療が必要になることもあります。
今回は、うさぎの食欲不振と腹部膨満の原因、検査、治療、そして飼い主さんに気をつけていただきたいポイントについて解説します。
うさぎは、牧草などの植物を主食とする完全草食動物です。
食べたものを盲腸内の微生物によって発酵させ、栄養を吸収するという特殊な消化機能を持っています。
また、盲腸で作られた栄養豊富な「盲腸便」を食べることで、必要な栄養素を再び体内に取り込んでいます。
このような消化機能を正常に維持するためには、十分な繊維質を含む食事を継続的に摂取することが重要です。
食欲が低下すると、次のような悪循環が生じることがあります。
食欲低下
↓
繊維質の摂取量が減少
↓
胃腸の動きが低下
↓
胃腸内に食べ物やガスが停滞
↓
お腹の張りや腹痛が発生
↓
さらに食欲が低下
このように、胃腸の動きが低下する状態を「消化管うっ滞」と呼びます。
さらに、食欲不振が長引くと、体内の脂肪が肝臓に蓄積する「肝リピドーシス」を引き起こす危険性もあります。Merck Veterinary Manual
うさぎの食欲不振には、さまざまな原因があります。
大きく分けると、飼育環境やストレスによるものと、病気によるものがあります。
① 飼育環境やストレス
② 病気によるもの
うさぎは体調不良を隠す傾向があるため、食欲が落ちているときには、すでに病気が進行している可能性もあります。
特に歯科疾患や痛みを伴う病気は、食欲低下を引き起こし、二次的に消化管うっ滞につながることがあります。ペットMD
腹部膨満とは、胃や腸にガス、食べ物、液体などがたまり、お腹が膨らんだ状態をいいます。
うさぎの腹部膨満には、主に次のような原因が考えられます。
① 消化管内にガスがたまる
胃腸の動きが悪くなると、食べ物やガスが正常に移動できなくなります。
また、腸内細菌のバランスが崩れることで、ガスの発生や貯留が問題になることがあります。
このような状態では、お腹が張るだけでなく、強い腹痛を伴う場合があります。
② 食べ物が胃腸内に停滞する
胃腸の動きが低下すると、食べたものが正常に移動せず、胃や腸に停滞することがあります。
この状態が続くと、脱水や腹痛が悪化し、さらに食欲が低下する悪循環に陥ります。
③ 胃や腸が物理的に閉塞する
毛や異物などによって消化管が塞がれることがあります。
特に、胃から腸へ内容物が流れなくなると、胃が急激に拡張する「急性胃拡張」を引き起こす場合があります。
急性胃拡張は、胃の血液循環に悪影響を及ぼし、ショックや胃の破裂につながることもある危険な状態です。
なお、腹部膨満は消化管の問題だけでなく、腹水や腫瘍、子宮疾患などによって生じる場合もあります。Merck Veterinary Manual
急性胃拡張は、うさぎの消化器疾患の中でも緊急性が高い病態の一つです。
突然発症することがあり、短時間で状態が悪化する可能性があります。
次のような症状が見られた場合には注意が必要です。
急性胃拡張では、胃に大量のガスや液体がたまり、重度の腹痛を引き起こすことがあります。
特に、突然の食欲不振と活動性の低下、お腹の膨らみが同時に見られる場合には、緊急性の高い状態を疑います。
ただし、外見上お腹が膨らんでいなくても、重篤な消化器疾患が隠れていることがあります。
食欲不振や便の減少が見られた場合には、早めに動物病院を受診しましょう。Veterinary Medicine at Illinois
食欲不振や腹部膨満が見られた場合には、原因を調べることが重要です。
まず、食欲や排便の状況、飼育環境、既往歴などを確認し、身体検査を行います。
必要に応じて、次のような検査を実施します。
レントゲン検査
胃や腸にたまっているガスの量、消化管の拡張、食べ物の停滞などを確認します。
超音波検査
消化管の動きや内容物、腹腔内の臓器などを観察します。
血液検査
脱水や電解質異常、肝臓・腎臓の状態などを確認します。
これらの検査を組み合わせ、消化管うっ滞と物理的な閉塞を鑑別しながら、治療方針を決定します。Merck Veterinary Manual
治療方法は、原因や症状の重症度によって異なります。
主な治療には、以下のようなものがあります。
① 原因となる病気の治療
歯科疾患、泌尿器疾患、消化器疾患などが見つかった場合には、それぞれの病気に応じた治療を行います。
② 輸液療法
脱水を改善し、全身状態を安定させるために、皮下点滴や静脈内輸液を行います。
③ 鎮痛治療
腹痛によって食欲がさらに低下することがあるため、適切な痛みの管理が重要です。
④ 栄養管理
消化管閉塞が否定され、状態に応じて安全と判断された場合には、必要な栄養を補給します。
⑤ 緊急処置・外科治療
急性胃拡張などで胃が著しく膨らんでいる場合には、胃の減圧処置が必要になることがあります。
また、物理的な閉塞が認められる場合には、外科手術が必要になることもあります。
注意:消化管閉塞が疑われる場合、無理な強制給餌や消化管運動促進薬の使用は危険です。
必ず獣医師が状態を評価したうえで、適切な治療を選択する必要があります。Merck Veterinary Manual
うさぎの健康を守るためには、日頃から食欲や排便の状態を観察することが大切です。
特に、以下のポイントを意識しましょう。
また、食欲がないときに自己判断で強制給餌をしたり、お腹を強くマッサージしたりすることは避けてください。
特に、お腹が張っている場合には、早急な診察が必要です。
うさぎの食欲不振は、単なる好き嫌いや一時的な体調不良とは限りません。
歯科疾患やストレス、消化器疾患など、さまざまな原因によって引き起こされます。
特に、腹部膨満を伴う場合には、消化管うっ滞や急性胃拡張、消化管閉塞などの可能性があります。
これらの病気は、短時間で重症化することもあるため、早期発見と早期治療が重要です。
「いつもより食べる量が少ない」「便が小さい・少ない」「お腹が膨らんでいる」など、普段と違う様子が見られたら、様子を見すぎず、早めに動物病院へご相談ください。
特に、突然まったく食べなくなったり、元気がなくなったりした場合には、翌日まで待たず、速やかに受診することをおすすめします。
大切なうさぎさんの健康を守るために、日頃から小さな変化を見逃さないようにしましょう。