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萩園どうぶつ日和STAFF BLOG

犬や猫も認知症になる?見逃したくない初期症状と予防・治療について

「最近、夜中に鳴くようになった」
「家の中をウロウロ歩き回る」
「今までできていたトイレを失敗するようになった」

高齢のワンちゃんやネコちゃんに、このような変化はありませんか?

飼い主さんは「もう年だから仕方ない」と思われるかもしれません。しかし、その行動の変化は認知機能不全症候群(CDS)、いわゆる認知症のサインかもしれません。

今回は、犬猫の認知症の症状や原因、予防、治療についてご紹介します。

① 犬や猫の認知症は珍しくありません

犬や猫も人間と同じように、年齢を重ねることで脳の機能が低下することがあります。

研究によると、認知機能低下を示す割合は年齢とともに増加します。

犬の場合

  • 11〜12歳:約28%
  • 15〜16歳:約68%

猫の場合

  • 11〜14歳:約30%
  • 15歳以上:約50%

※過去の研究に基づく数値であり、認知機能低下の兆候が1つ以上見られた割合などを含みます。すべてが認知症と診断された割合ではありません。

このように、認知機能の低下は高齢の犬猫にとって身近な問題です。

特に日本では、柴犬などの日本犬で認知症が多く報告されてきました。ただし、どの犬種でも発症する可能性があります。

② こんな症状はありませんか?認知症のチェックポイント

犬猫の認知症では、さまざまな行動の変化が現れます。

獣医学では「DISHA(ディーシャ)」と呼ばれる項目を用いて、認知機能の低下を評価することがあります。

D:見当識障害

  • 家の中で迷う
  • 部屋の隅や家具の間から出られなくなる
  • 壁や何もない場所をじっと見つめる
  • 慣れている場所で戸惑う

I:家族との関わり方の変化

  • 名前を呼んでも反応が乏しい
  • 家族への関心が薄れる
  • 以前より甘えるようになる
  • 家族を認識していないように見える

S:睡眠・覚醒リズムの変化

  • 昼間は寝てばかりいる
  • 夜中に起きて歩き回る
  • 夜鳴きが増える
  • 昼夜逆転する

H:トイレの失敗

  • 今までできていたトイレを失敗する
  • トイレの場所がわからなくなる
  • 排泄の習慣が変わる

A:活動性の変化

  • 同じ場所をぐるぐる歩く
  • 目的なく歩き続ける
  • 遊びや散歩への関心がなくなる
  • 落ち着きがなくなる

これらの症状は認知症以外の病気でも起こります。特に痛み、視力や聴力の低下、内臓疾患などとの区別が重要です。

③ なぜ認知症になるの?

認知症には、加齢に伴う脳のさまざまな変化が関係しています。

その一つが酸化ストレスです。

体内で発生する活性酸素などが過剰になると、神経細胞のタンパク質や脂質などが傷つき、脳の働きに影響を与える可能性があります。

また、脳内では次のような変化も研究されています。

  • 神経細胞の機能低下
  • 神経伝達物質の変化
  • アミロイドβというタンパク質の蓄積
  • 脳の萎縮などの加齢性変化

犬と猫では脳の病理学的変化に違いもあり、認知症の仕組みはまだ完全には解明されていません。

④ 認知症は予防できる?

認知症を完全に防ぐ方法は、現在のところ確立されていません。

しかし、脳の健康を維持するために、日頃からできることがあります。

1.栄養バランスのよい食事

抗酸化成分やオメガ3脂肪酸などを含む食事は、脳の健康をサポートする方法として研究されています。

認知機能の維持を目的とした療法食もありますので、年齢や持病に合わせて選ぶことが大切です。

2.適度な運動

無理のない散歩や遊びは、身体機能の維持だけでなく、脳への刺激にもなります。

3.頭を使う遊び

おやつ探しや知育玩具、簡単なトレーニングなどは、日常生活に刺激を与えます。

高齢の犬猫では、疲れさせすぎず、楽しめる範囲で行いましょう。

4.安心できる生活環境

高齢になると環境の変化に対応しにくくなることがあります。

家具の配置を急に変えない、滑りにくい床にする、寝床やトイレに行きやすくするなどの工夫が役立ちます。

猫では、フェロモン製剤などが環境変化によるストレスの軽減に役立つ場合もあります。ただし、認知症そのものを治療するものではありません。

⑤ 認知症の治療はできる?

認知症を完全に治すことは難しいものの、症状や生活の質を改善するための治療・ケアがあります。

主な方法は次のとおりです。

食事療法

脳の健康をサポートする栄養成分を含んだ食事を取り入れることがあります。

生活環境の改善

夜間の照明、寝床の工夫、トイレの増設、生活リズムの調整などによって、犬猫の不安や混乱を減らします。

お薬による治療

夜鳴き、不安、睡眠障害などが強い場合には、症状に合わせて薬を検討することがあります。

ただし、お薬には副作用や併用上の注意点もあるため、獣医師による適切な診断と管理が必要です。

大切なのは、症状が重くなる前に対処することです。

⑥ 7歳を過ぎたら認知機能もチェックしましょう

犬猫の認知機能の低下は、ゆっくり進行することがあります。

毎日一緒に生活していると、少しずつ起こる変化に気づきにくいものです。

そのため、7歳を過ぎた頃から、健康診断とあわせて行動や睡眠、トイレの様子などを定期的に確認することをおすすめします。

認知症のように見える症状の中には、治療できる別の病気が隠れていることもあります。

「最近、少し様子がおかしいな」と感じたら、早めに動物病院へご相談ください。

まとめ:年齢のせいと決めつけないことが大切です

犬猫の認知症は、高齢になるほど身近になる問題です。

しかし、夜鳴きや徘徊、トイレの失敗などを、すべて年齢のせいにする必要はありません。

早めに変化に気づき、原因を調べ、適切なケアを始めることで、ワンちゃん・ネコちゃんと飼い主さんが穏やかに過ごせる時間を支えられる可能性があります。

大切な家族が年齢を重ねても、安心して毎日を過ごせるように。

気になる行動の変化がありましたら、どうぞお気軽に当院へご相談ください。