2026.10.31

猫ちゃんの感染症の中でも、飼い主様に知っておいていただきたい病気が「猫白血病ウイルス感染症」と「猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)」です。
どちらも猫の免疫機能に影響を与えるウイルス感染症ですが、感染経路や病気の進行には違いがあります。
今回は、この2つの病気についてわかりやすくご紹介します。
猫白血病ウイルス(FeLV)は、猫の免疫機能や骨髄などに影響を与えるウイルスです。
感染すると免疫力が低下したり、貧血やリンパ腫などの病気を引き起こしたりすることがあります。
主な感染経路
特に、感染猫と長期間密接に接触することで感染するリスクが高まります。
主な症状
感染してもすぐに症状が現れるとは限りません。また、感染後にウイルスが抑え込まれる猫もいれば、持続感染して病気を発症する猫もいます。
特に子猫は感染による影響を受けやすいため、注意が必要です。
猫エイズは、猫免疫不全ウイルス(FIV)によって引き起こされる感染症です。
人のエイズと似た名前ですが、原因となるウイルスは異なり、人に感染することはありません。
FIVに感染すると、長い年月をかけて免疫機能が低下することがあります。
主な感染経路
最も多いのは、猫同士のケンカによる咬み傷です。
そのため、屋外で生活する猫や、他の猫とケンカする機会が多い猫では感染リスクが高くなります。
一方、仲良く暮らしている猫同士では、日常的な接触だけで感染するリスクは比較的低いと考えられています。
主な症状
ただし、FIVに感染した猫の多くは、長期間にわたって症状が現れない「無症候期」を過ごします。
猫エイズ陽性=すぐに発症する、というわけではありません。
適切な健康管理を行うことで、長く元気に生活できる猫ちゃんもたくさんいます。
| 比較項目 | 猫白血病(FeLV) | 猫エイズ(FIV) |
|---|---|---|
| 主な感染経路 | 唾液を介した密接な接触 | ケンカによる咬み傷 |
| 主な影響 | 貧血・免疫低下・腫瘍など | 免疫機能の低下 |
| 病気の進行 | 持続感染では重症化することがある | 長期間無症状の場合も多い |
| ワクチン | あり | なし |
| 人への感染 | なし | なし |
どちらも感染したからといって、必ずすぐに病気を発症するわけではありません。
猫白血病と猫エイズは、動物病院で血液検査を行うことで感染の有無を調べることができます。
一般的には少量の血液を採取し、院内の検査キットで調べます。
ただし、感染して間もない場合には、検査で陰性になることがあります。また、陽性の場合も追加検査や再検査が必要になることがあります。
特に、次のような猫ちゃんには検査をおすすめします。
子猫の場合は、母猫から受け継いだ抗体によってFIV検査が陽性になることもあるため、月齢に応じた再検査が必要です。
猫白血病と猫エイズの予防で最も重要なのは、感染している猫との接触を避けることです。
1. 完全室内飼育を心がける
屋外では感染猫との接触やケンカによる感染リスクがあります。
完全室内飼育は、これらの感染症だけでなく、交通事故や寄生虫感染などの予防にもつながります。
2. 新しく猫を迎えるときは検査をする
すでに猫を飼っているご家庭では、新しい猫を迎える前に感染症検査を受けることをおすすめします。
検査結果が確認できるまでは、先住猫との接触を避けましょう。
3. ワクチンについて相談する
猫白血病には予防ワクチンがあります。特に感染リスクが高い猫では接種を検討します。
猫エイズのワクチンについては、予防効果や検査結果への影響などを考慮し、接種の必要性を慎重に判断します。
4. 定期的な健康診断を受ける
感染している猫ちゃんでは、体調の変化を早期に発見することが大切です。
定期的な診察や血液検査を行い、健康状態を確認しましょう。
猫白血病や猫エイズの検査で陽性と診断されても、すぐに悲観する必要はありません。
まずは追加検査などで感染状態を確認し、その猫ちゃんに合った健康管理を行うことが大切です。
現時点では、これらの感染症を確実に治す一般的な治療法はありませんが、症状に応じた治療や適切な生活環境によって、生活の質を維持できる場合があります。
特に猫エイズでは、感染していても長く元気に暮らす猫ちゃんがいます。
感染猫では、以下のことを心がけましょう。
猫白血病と猫エイズは、猫ちゃんの健康に大きな影響を与える可能性がある感染症です。
しかし、感染経路を理解し、適切な予防や健康管理を行うことで、感染リスクを減らし、感染した猫ちゃんの健康を守ることにつながります。
特に、保護猫を迎えたときや新しく猫ちゃんを家族に迎えたときには、一度ウイルス検査を受けておくと安心です。
猫白血病ウイルス(FeLV)は、感染した猫ちゃんが必ず生涯にわたって陽性になるわけではありません。
感染初期には血液検査で陽性となっていても、その後、猫ちゃん自身の免疫の働きによってウイルスの増殖が抑えられ、検査結果が陰性に変わることがあります。
これを「退行性感染」と呼びます。
一方、ウイルスが持続的に増殖する「進行性感染」では、貧血やリンパ腫、免疫力の低下などを引き起こすリスクが高くなります。
そのため、猫白血病ウイルスの検査で陽性となった場合には、1回の検査だけで判断せず、一定期間をあけて再検査を行うことが重要です。
一般的には、感染状況に応じて数週間後の再検査やPCR検査などを検討します。
「陽性=一生陽性」とは限りません。
ただし、陰性に変わった場合でも体内にウイルスの遺伝子が残っていることがあるため、獣医師による適切な評価が必要です。
大切な猫ちゃんが健康で長く暮らせるように、気になることがあればお気軽に当院までご相談ください。