2026.11.07

愛犬や愛猫に、こんな症状はありませんか?
このような症状が続く場合、鼻の奥に何らかの異常が隠れている可能性があります。
今回は、犬や猫の鼻の奥を調べるために、動物病院ではどのような検査を行うのかをご紹介します。
犬や猫の鼻の内部には「鼻腔(びくう)」と呼ばれる空間があり、その中には「鼻甲介(びこうかい)」という複雑な薄い骨の構造があります。
鼻甲介は、吸い込んだ空気を温めたり、加湿したり、異物を取り除いたりする役割を担っています。
さらに鼻腔の奥には「鼻咽頭(びいんとう)」という、鼻と喉をつなぐ部分があります。
これらの場所は外から直接観察することが難しく、通常の診察だけでは異常を確認できない場合があります。
鼻の奥に異常がある場合、次のような病気が考えられます。
● 鼻炎・副鼻腔炎
感染や炎症などによって鼻の粘膜に異常が起こり、くしゃみや鼻水が続くことがあります。
● 鼻腔内異物
草の種や植物片などが鼻の中に入り込み、突然の激しいくしゃみや片側性の鼻水を引き起こすことがあります。
● 鼻咽頭ポリープ
特に若い猫で見られることがあり、鼻づまりや異常な呼吸音、いびきのような音の原因になります。
● 鼻腔内腫瘍
中高齢の犬猫で注意したい病気の一つです。鼻血、慢性的な鼻水、鼻づまり、顔の変形などが見られることがあります。
● 真菌感染症
犬の鼻腔アスペルギルス症や、猫のクリプトコッカス症などが代表的です。
● 歯科疾患
上顎の歯の根元に炎症が起こると、鼻腔に影響し、慢性的な鼻水などの原因になることがあります。
鼻の奥の検査にはいくつかの方法があり、症状や疑われる病気に応じて組み合わせて行います。
まずは鼻水の性状や左右差、鼻からの空気の流れ、顔の腫れ、口腔内や歯の状態などを確認します。
症状がいつから始まったのか、くしゃみや鼻血の有無なども重要な情報になります。
鼻腔や周囲の骨、歯の状態などを調べるために行うことがあります。
ただし、鼻の内部は複雑な構造をしているため、通常のレントゲン検査だけでは病変を十分に評価できない場合があります。
鼻の奥を詳しく調べるうえで、非常に有用な検査です。
CT検査では、鼻腔や副鼻腔、鼻甲介、周囲の骨などを断面画像として確認できます。
例えば、次のような異常を調べることができます。
ただし、CT画像だけで炎症と腫瘍などを確実に区別できるとは限りません。
必要に応じて、組織検査などを組み合わせます。
細い内視鏡を使用して、鼻の内部を直接観察する検査です。
鼻の穴から観察する方法に加えて、口の奥から鼻咽頭を観察する方法もあります。
内視鏡検査では、鼻の粘膜の炎症、異物、腫瘤などを直接確認できる場合があります。
また、異物の除去や組織の採取が可能なこともあります。
犬や猫の鼻腔は狭く、体格によって観察できる範囲が異なります。そのため、専用の細い内視鏡が必要になることがあります。
鼻腔内を洗浄して採取した液体を調べたり、病変の一部を採取して顕微鏡で調べたりする方法です。
特に腫瘍が疑われる場合には、組織を採取して病理検査を行うことが、確定診断のために重要になります。
ただし、採取する場所や検体の状態によっては診断がつかない場合もあります。
飼い主様からよくいただく質問の一つが、「鼻の奥を調べるには麻酔が必要ですか?」というものです。
身体検査や一部の画像検査は、無麻酔で行えることがあります。
一方、鼻腔内視鏡検査や鼻腔内の組織採取には、通常、全身麻酔が必要です。
鼻の奥は刺激に敏感で、検査中に動いてしまうと粘膜を傷つけたり、出血したりする危険があるためです。
また、CT検査も、正確な画像を撮影するために鎮静や全身麻酔が必要になることがあります。
麻酔を行う場合には、事前に身体検査や血液検査などで全身状態を確認し、年齢や持病、呼吸状態を考慮して検査計画を立てます。
逆くしゃみは、鼻咽頭への刺激によって起こる一時的な反射現象です。
短時間で自然に治まり、普段は元気でほかに症状がなければ、必ずしも詳しい検査が必要とは限りません。
しかし、次のような場合には、鼻の奥の病気が関係している可能性があります。
このような場合には、症状や診察結果に応じて追加検査を検討します。
鼻水やくしゃみが数日以上続く場合、片側だけから鼻水が出る場合、鼻血が見られる場合などには、早めに動物病院で相談しましょう。
特に、口を開けて呼吸する、呼吸が苦しそう、ぐったりしているといった場合は、緊急の対応が必要になることがあります。
また、症状が出ている様子をスマートフォンで動画撮影しておくと、診察の参考になります。
犬や猫の鼻の奥には、外からは見えない複雑な構造があります。
慢性的なくしゃみや鼻水、逆くしゃみなどの症状の背景には、炎症や異物、ポリープ、腫瘍など、さまざまな病気が隠れていることがあります。
鼻の奥を詳しく調べるには、CT検査や鼻腔内視鏡検査などが有用ですが、すべての動物にこれらの検査が必要というわけではありません。
まずは症状や診察所見から、どのような検査が必要かを判断することが大切です。
当院ではCTや鼻腔用の内視鏡はないため、必要な場合は2時診療施設をご紹介することとなります。