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萩園どうぶつ日和STAFF BLOG

犬の皮膚がベタベタ・フケっぽい…「脂漏性皮膚炎」かもしれません

「最近、皮膚がベタベタする」「シャンプーしてもすぐ臭くなる」「フケが増えた気がする」

このような症状がみられる場合、脂漏症(しろうしょう)・脂漏性皮膚炎が関係していることがあります。

脂漏症は、皮膚の角質が正常に入れ替わる「ターンオーバー」に異常が起こり、フケや皮脂、ベタつきなどが目立つようになる皮膚の状態です。

単に「脂っぽい体質」というだけではなく、アレルギーや感染症、ホルモンの病気などが隠れていることもあるため、原因を調べながら長期的に管理することが大切です。日本獣医皮膚科学会でも、角化症・脂漏症は原発性・続発性を含め、皮膚科診療の重要な領域として位置づけられています。

脂漏症には「カサカサ」と「ベタベタ」があります

脂漏症というと「皮脂が多くてベタベタする病気」を想像するかもしれませんが、実際には大きく2つのタイプがあります。

① 乾性脂漏症(カサカサタイプ)
皮膚や被毛が乾燥し、フケが目立つタイプです。

② 脂性脂漏症(ベタベタタイプ)
皮膚や被毛が脂っぽくベタつき、独特のにおいを伴うことがあります。

さらに炎症が加わり、赤みやかゆみなどがみられる状態を脂漏性皮膚炎と呼びます。

実際には「乾燥だけ」「脂っぽいだけ」ときれいに分かれるとは限らず、部位によって症状が違ったり、複数の状態が混在したりすることもあります。

なぜ脂漏症になるの?

脂漏症は、大きく**「原発性」と「続発性」**に分けて考えます。

原発性脂漏症は、遺伝的な角化異常などが関係するタイプです。一方、診療で重要なのが何らかの病気に伴って起こる続発性脂漏症です。

例えば、

  • アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患
  • マラセチアなどの微生物の増殖
  • 細菌性皮膚炎
  • 外部寄生虫
  • 内分泌疾患や代謝性疾患
  • 食事・栄養状態
  • 環境や湿度の変化

などが関係することがあります。

特に「以前は問題なかったのに、最近になって脂っぽくなった」という場合には、脂漏症そのものだけでなく、その背景にある原因を探すことが重要です。

日本獣医皮膚科学会の研修項目でも、脂漏症だけでなく、アレルギー、寄生虫、細菌・真菌性皮膚疾患、内分泌疾患などを含めた総合的な診断が扱われています。

こんな症状はありませんか?

脂漏症のワンちゃんでは、フケが多い、皮膚や毛がベタつく、体臭が強くなった、毛が脂っぽく束になる、皮膚が赤い、かゆがる、皮膚が黒ずんできたといった変化がみられることがあります。

慢性化すると皮膚が厚くなったり、色素沈着が目立ったりすることもあります。

また、脂漏性皮膚炎ではマラセチアなどの増殖を伴うこともあるため、「臭いが急に強くなった」「かゆみや赤みが増えた」という変化があれば、早めに診察を受けることをおすすめします。

診断は「ベタついているから脂漏症」だけではありません

見た目やにおいだけで原因を決めることはできません。

皮膚の状態を確認するとともに、必要に応じて皮膚の細胞診、毛の検査、寄生虫の検査、培養検査、血液検査などを行います。症例によっては皮膚生検など、さらに詳しい検査が必要になることもあります。

特に大切なのは、

「なぜ脂漏症になっているのか?」

を考えることです。

シャンプーで一時的にきれいになっても、背景にアレルギーや感染症、内分泌疾患などがあれば、再び症状が出てくる可能性があります。

治療の基本は「洗浄+保湿+原因疾患の管理」

脂漏症では、症状に合わせた**スキンケア(シャンプー療法)**が治療の重要な柱になります。

皮脂やフケを適切に取り除き、皮膚を清潔な状態に保ちます。ただし、洗えば洗うほど良いわけではありません。

皮膚の状態に対して洗浄力が強すぎるシャンプーや、頻繁すぎる洗浄は、皮膚のバリア機能を損なってしまう可能性があります。

そのため、

「何のシャンプーを使うか」
「どのくらいの頻度で洗うか」
「どの部分を重点的に洗うか」
「洗った後にどのように保湿するか」

まで、そのワンちゃんの皮膚状態に合わせて考えることが大切です。

症状が改善してきたら、徐々にシャンプーの頻度を減らし、その子に合った維持管理のペースを探していきます。

「ベタつくのに保湿?」が実は大切

「皮膚が脂っぽいのに保湿するの?」と思われるかもしれません。

しかし、脂漏症でも皮膚のバリア機能が低下していることがあり、洗浄後の保湿が重要になる場合があります。

特に洗浄力のあるシャンプーを使用した後は、皮膚の状態に合わせてローションやフォーム、スプレーなどの保湿剤を組み合わせることがあります。

ただし、保湿剤そのもののベタつきを嫌がるワンちゃんもいます。その場合は剤形や成分、使用方法を調整します。

最近は「落としすぎない」洗浄も

脂漏症では皮脂を落とすことが大切ですが、皮膚のバリア機能が弱っているワンちゃん、特にアトピー性皮膚炎などを併発している場合には、強い脱脂・角質除去が刺激になることがあります。

そのため、皮膚の状態によっては低刺激性シャンプーや保湿剤を組み合わせたり、クレンジング剤を部分的に使用したりするなど、**「汚れは落とすけれど、皮膚に必要なものまで落としすぎない」**という考え方が重要になります。

脂漏性皮膚炎は「治す」だけでなく「上手に管理する」病気

脂漏症は、原因によっては長期間の管理が必要になります。

特に続発性脂漏症では、シャンプーだけを続けるのではなく、アレルギー、感染症、寄生虫、ホルモンの病気など背景にある原因をコントロールすることが再発を減らすポイントです。

「昔から脂っぽいから体質だと思っていた」
「シャンプーしても数日すると臭くなる」
「フケとベタつきを繰り返している」
「最近かゆみも出てきた」

このような場合には、一度皮膚の状態を詳しく調べてみましょう。

その子の皮膚の状態に合ったシャンプーや保湿方法、洗う頻度まで一緒に考えていくことが、皮膚を良い状態に保つ近道です。

当院では様々なクレンジングシャンプー・コンディショナーを用意し薬浴治療を行っております。脂漏症でお困りの方は是非お問い合わせください。

写真はベタベタタイプの本態性脂漏症のシー・ズーです。2週間に1回の薬浴を続けていただいています。帰りには油分も取れてさらさらになっています。