2026.09.20
「皮膚が赤い」「体をよく掻いている」「フケが多い」「ベタベタして臭いが気になる」など、犬の皮膚トラブルは動物病院でよくみられる症状のひとつです。
皮膚病というと「薬で治療する」というイメージが強いかもしれませんが、実は毎日のスキンケアも皮膚病治療の大切な一部です。
今回は、犬の皮膚病における「洗浄」と「保湿」を中心に、ご家庭でのスキンケアについてご紹介します。
皮膚には、体の外から細菌やアレルゲンなどが侵入するのを防ぎ、体内の水分が失われるのを防ぐ「バリア機能」があります。
ところが、アトピー性皮膚炎などでは、この皮膚バリアがうまく働かなくなることがあります。そのため、皮膚を清潔に保つだけでなく、皮膚の状態に合わせて保湿することが重要になります。
日本獣医皮膚科学会でも犬アトピー性皮膚炎に対するスキンケアが継続的に取り上げられており、近年は保湿剤に関する研究も行われています。
皮膚病の犬では、基本的に低刺激性のシャンプーを選びます。
お湯の温度にも注意しましょう。熱いお湯は皮膚への刺激となり、乾燥を助長することがありますので、ぬるま湯がおすすめです。
洗うときはゴシゴシこするのではなく、シャンプーをよく泡立てて、皮膚をやさしく洗います。
また、「シャンプーは頻繁にすると皮膚に悪い」と思われることがありますが、必ずしもそうとは限りません。皮膚の状態や使用するシャンプーによっては、週1回程度、場合によってはそれ以上の頻度で洗浄することもあります。
大切なのは、その子の皮膚の状態に合わせて洗浄頻度を調節することです。
皮膚が乾燥している犬では、洗浄+保湿がポイントです。
低刺激性・保湿性のシャンプーを使用し、乾燥が強い場合にはシャンプー前に皮膚を十分に濡らしたり、シャンプー後にローションやスプレーなどの外用保湿剤を併用したりします。
保湿が十分にできていれば、皮膚の状態を見ながら洗浄頻度を調節することもできます。
皮脂が多く、ベタベタした皮膚では、皮脂を適度に取り除くタイプのシャンプーを使用することがあります。
一方、細菌やマラセチアなどの感染を伴っている場合には、抗菌・抗真菌作用をもつ薬用シャンプーなどが必要になることがあります。
「ベタついている=強く洗えばよい」というわけではありません。原因によって使用するシャンプーが異なるため、皮膚の状態を確認して選ぶことが大切です。
基本的にはドライスキンと同様に保湿を重視します。
ただし、鱗屑(フケ)が非常に多い場合には、硫黄やサリチル酸などを含む角質ケア用のシャンプーを使用することもあります。
こうしたシャンプーは皮膚の状態によっては刺激になることもあるため、自己判断ではなく獣医師の指示のもとで使用することをおすすめします。
犬では人とは汗のかき方が異なりますが、皮膚の蒸れや汚れが問題になるケースでは、低刺激性・保湿性のシャンプーを使ってこまめに洗浄することがあります。
皮膚の状態によっては1~2日おきの洗浄やシャワーを取り入れる場合もあります。
皮膚病のスキンケアというとシャンプーに注目しがちですが、もうひとつ重要なのが保湿です。
犬では被毛があるため、人のようにクリームを全身に塗るのは大変です。そのため、シャンプー、ローション、スプレーなど、犬に使いやすいさまざまな製品があります。
保湿成分を含む製品の中には、皮膚を清潔にしながら保湿するという両方の役割を期待できるものもあります。
ここが一番大切なポイントです。
同じ「かゆい」「赤い」「フケが出る」という症状でも、
アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、細菌感染、マラセチア、寄生虫、脂漏症、角化異常など、原因はさまざまです。
そのため、「皮膚病にはこのシャンプー」というものはありません。
皮膚の状態に合わないシャンプーを使用すると、かえって乾燥や刺激を強くしてしまうこともあります。
犬の皮膚病では、飲み薬や注射などの治療だけでなく、「洗浄」と「保湿」を中心としたスキンケアがとても重要です。
ポイントは、①低刺激性のシャンプーを基本にする、②ぬるま湯でやさしく洗う、③皮膚の状態に応じて洗浄頻度を調節する、④乾燥している場合は保湿を組み合わせる、⑤感染や脂漏がある場合は目的に合ったシャンプーを選ぶことです。
特に犬アトピー性皮膚炎では、スキンケアは薬物療法とは別物ではなく、治療を支える重要な選択肢のひとつです。国際的な犬アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインでも、シャンプーなどの外用療法が治療の一部として扱われています。
「うちの子にはどんなシャンプーが合うの?」「何日おきに洗えばいい?」「保湿剤は必要?」など気になることがありましたら、診察時にお気軽にご相談ください。
その子の皮膚の状態に合わせたスキンケアを一緒に考えていきましょう。
