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萩園どうぶつ日和STAFF BLOG

ペットが急に吐き始めました!もしかすると急性膵炎の症状かもしれません。

「最近、食欲がない」「何度も吐いている」「なんとなく元気がない」

このような症状が見られたとき、考えられる病気の一つに**膵炎(すいえん)**があります。

膵炎は犬にも猫にも起こる病気ですが、犬と猫では症状の現れ方が異なります。重症化すると命に関わることもあるため、早期発見と適切な治療が大切です。

今回は、犬と猫の膵炎について詳しく解説します。

① 膵炎とはどんな病気?

膵臓は胃や十二指腸の近くにある臓器で、主に2つの重要な働きをしています。

  • 消化酵素の分泌:食べ物に含まれる脂肪・タンパク質・炭水化物などの消化を助けます。
  • ホルモンの分泌:インスリンなどを分泌し、血糖値を調節します。

膵炎は、この膵臓に炎症が起こる病気です。

膵臓の中で消化酵素が異常に活性化されることなどによって、膵臓自身や周囲の組織が傷つき、炎症が起こると考えられています。

膵炎には、急激に発症する「急性膵炎」と、炎症が長期間続く「慢性膵炎」があります。

軽症で回復する場合もありますが、重症になると全身に炎症が広がり、さまざまな臓器に影響を及ぼすこともあります。

② 犬と猫では症状が違う?

犬の膵炎でよく見られる症状

  • 繰り返す嘔吐
  • 食欲不振
  • 元気がなくなる
  • 腹痛(お腹を触られるのを嫌がる)
  • 下痢
  • 脱水
  • 発熱

犬では、突然何度も吐いたり、強い腹痛を示したりすることがあります。

前足を伸ばして胸を床につけ、お尻を高く上げる「祈りのポーズ」をとる場合もあります。ただし、この姿勢だけで膵炎と判断することはできません。

猫の膵炎でよく見られる症状

  • 食欲が落ちる
  • 元気がなくなる
  • 寝ている時間が増える
  • 体重が減る
  • 脱水
  • 嘔吐や下痢(見られないことも多い)

猫の膵炎は、犬と比べて症状がはっきりしないことが特徴です。

特に注意したいのは、猫では嘔吐や明らかな腹痛がなくても膵炎を起こしていることがあるという点です。

「最近なんとなく元気がない」「いつもより食べる量が少ない」という小さな変化が病気のサインになっていることもあります。

③ 膵炎の原因は?

膵炎は、さまざまな要因が関係して発症すると考えられていますが、原因を特定できないケースも少なくありません。

犬では、肥満、高脂血症、内分泌疾患、一部の薬剤などが膵炎と関連することがあります。脂肪分の多い食事もリスク要因の一つと考えられていますが、必ずしも食事だけが原因ではありません。

一方、猫では原因がわからないケースが多く、腸炎や胆管炎などを併発していることがあります。

猫では、膵炎・胆管炎・腸炎が同時に起こる状態を「三臓器炎(トライアディティス)」と呼ぶことがあります。

④ 膵炎はどうやって診断する?

膵炎が疑われる場合、症状や身体検査の結果に加えて、複数の検査を組み合わせて診断します。

血液検査

全身状態や脱水、炎症、肝臓・腎臓などへの影響を確認します。

また、膵臓に関連するリパーゼを調べる検査(犬のcPL、猫のfPLなど)も診断の参考になります。簡易的に迅速に検査できるキットも常備しています。

腹部超音波検査(エコー検査)

膵臓の腫れや周囲の脂肪組織の変化、腹水の有無などを確認します。

ただし、膵炎であっても超音波検査で明らかな異常が見つからない場合があります。

膵炎は、一つの検査だけで確実に診断できるとは限らない病気です。症状や検査結果を総合的に判断することが重要です。

⑤ 膵炎の治療方法

膵炎の治療では、炎症によって起こる症状を和らげ、体の回復を助けることが基本になります。

主な治療には以下のようなものがあります。

  • 輸液療法:脱水や循環状態の改善
  • 吐き気止め:嘔吐や吐き気のコントロール
  • 鎮痛薬:腹痛などの痛みを軽減
  • 栄養管理:必要な栄養を適切に補給
  • 併発疾患の治療:糖尿病や胆管炎などがある場合の対応

以前は膵炎の治療として絶食が行われることもありましたが、現在では状態に応じて、できるだけ早期に栄養を補給することが重要と考えられています。

犬では低脂肪食が選択されることが多い一方、猫では必ずしも厳格な脂肪制限が必要とは限りません。

特に猫は、食事をとれない状態が続くと「肝リピドーシス(脂肪肝)」を起こす危険性があるため、十分な栄養を確保することが重要です。

重症の場合には入院による集中的な治療が必要になることもあります。

⑥ 膵炎は予防できる?

膵炎を完全に予防する方法はありませんが、日頃から次のような点に注意することが大切です。

  • 適切な食事量を守り、肥満を防ぐ
  • 脂肪分の多い人間の食べ物を与えない
  • 急激な食事の変更を避ける
  • 持病がある場合は適切に管理する
  • 食欲や元気、体重の変化を日頃から確認する
  • 定期的に健康診断を受ける

特に膵炎を経験した犬では、再発予防のために食事内容の見直しが必要になる場合があります。

⑦ こんな症状があれば早めに動物病院へ

何度も吐く、強い腹痛がある、ぐったりしている、水も飲めないといった症状がある場合は、速やかな受診が必要です。

また、猫では目立った症状がなくても、食欲不振が続いている場合には注意が必要です。

「いつもと何か違う」という飼い主さんの気づきが、病気の早期発見につながります。

まとめ

膵炎は犬と猫のどちらにも起こる病気ですが、犬では嘔吐や腹痛、猫では食欲不振や元気の低下など、症状の現れ方に違いがあります。

軽症で回復することもありますが、重症化する場合や再発を繰り返す場合もあります。

早期発見と適切な治療が大切ですので、気になる症状がある場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。

 

【参考】人でも命に関わることがある「膵炎」

膵炎は犬や猫だけでなく、人でも発症する病気です。

人の急性膵炎も、軽症であれば回復することが多い一方、重症化すると多臓器不全などを引き起こし、命に関わることがあります。

2025年に発表された日本の全国疫学調査(2021年の患者データ)では、急性膵炎による院内死亡割合は以下のように報告されています。

  • 急性膵炎全体:2.1%
  • 軽症急性膵炎:0.6%
  • 重症急性膵炎:5.3%

さらに、重症度を示す予後因子スコアが6点以上の患者では、死亡割合が**34.7%**に達したと報告されています。

つまり、膵炎は軽症から命に関わる重症まで幅広く、重症度によって経過が大きく異なる病気なのです。

犬や猫でも同様に、軽症で回復する場合もあれば、重症化して命に関わる場合もあります。

人の死亡率をそのまま犬や猫に当てはめることはできませんが、膵炎は決して軽視できない病気です。

特に、繰り返す嘔吐や食欲不振、元気の低下などが見られる場合には、早めに動物病院を受診することが大切です。